広報5月号

更新日:2025年08月07日

心痛はしてはならぬ。だが、心配は大いにせよ。

   この言葉は高知県にある四国八十八ヶ所霊場の一つ、臨済宗妙心寺派雪蹊寺の山本玄峰住職(一八六六~一九六一)によるものです。
   二月下旬の高知では、直径十センチ以上の土佐文旦が、大きなビニール袋に入れられて、道路沿いの果実屋さんに並んでいます。雪渓寺の境内でも同様の光景が広がっていました。
   玄峰師は若くして失明を宣告されるという大変な困難に直面しますが、眼病平癒を祈願して裸足で四国遍路を始めます。七回目の四国遍路の途中、三十三番札所である雪渓寺の前で行き倒れとなってしまったところを、住職の山本太玄師に助けられ、これが禅僧への道を志す契機となりました。
   玄峰住職は数多くの名言を残しましたが、冒頭の言葉もその一つです。

心配は心くばり

心配は「心くばり」とも読めます。自分の心を届けるためには相手をよく観察し、相手の心と溶け合って調和するように智慧をはたらかせなければなりません。だからこそ、玄峰住職は、「心配という行いを大切にせよ」と言われたのではないでしょうか。
「心配」は自分の思いの押し付けではなく、相手のことをよく観察した結果、自然とわきあがる心の現れであり、相手の人格を無視してじろじろ見ることではありません。心の目(心眼)は無限にひろげることができます。相手にとって何が大切なのかを考え、思いやる・・まさにヒューマンライツ(人権)がここにあるのです。
土佐文旦を見かけるたびに、多くの人びとに様々な影響を与えた玄峰住職の生き様が脳裏に浮かび、息遣いが感じられるお遍路(八十八か所巡り)でした。
ちなみに土佐文旦は美味しいですが、日出のみかんももちろん美味しいです。

この記事に関するお問い合わせ先

住民生活課 人権尊重・部落差別解消推進室
〒879-1592 大分県速見郡日出町2974番地1
電話番号:0977-73-3132
ファックス:0977-72-7294
メールフォームによるお問い合わせ