広報12月号
教科書無償運動
教科書はなぜ無償なの?
今、子どもたちは新しい学年を迎えるたびに、真新しい教科書を手にし、ページをめく
りながらこれから始まる勉強に期待を抱き、進級した喜びをかみしめることができます。
この教科書は、今から50年余り前までは、みんなが新しい教科書を無償でもらえると
いうわけではありませんでした。
教科書が無償なのは、これが義務教育の根幹を支えるものであり、将来を担う子どもた
ちへの願いや期待が込められているからです。
お母さんたちの願い
1963年以前は、義務教育と言えども、教科書は各家庭で買わなければなりませでし
た。教科書代は、当時の金額で小学生は700円、中学生は1200円程度が必要でした。
当時の物価は、失業対策による労働者の日給が約300円ですから、2~3人の兄弟姉妹
の分を捻出するとなると、大変な出費になります。
憲法を学んでいた高知市長浜に住む被差別部落のお母さんたちは『教科書をタダに
する会』を組織して、活動に取り組みました。子どもたちの学びを保障したいという
強い願いがあったのです。
教科書無償はみんなの願い
長浜のお母さんたちの熱い願いは、全国の人々の心を動かしました。
被差別部落のお母さんたちの決意のよりどころは『義務教育は、これを無償とする』と
いう憲法の一文です。
この運動の成果は、全国民の願いを叶えたものになりました。
段階的に無償化が進み、1969年に全国の小中学校の教科書無償配布が実現しました。
無償化の歴史や意義を語り継ぎ、義務教育の根幹を支える教科書を、大切に使っていき
たいですね。
教科書の採択は、法律(無償措置法)で定められ、原則として4年間同一の教科書を使用
します。今年度は、令和6年度から使用する小学校教科書が採択され、来年度は中学校の
教科書が採択されます。
更新日:2024年01月31日