広報9月号

更新日:2022年06月07日

9月号 就職差別を考える

全国高等学校統一用紙の精神を

今年4月、改正高年齢者雇用安定法が施行され、雇用主の努力義務として希望する従業員の就業機会を満70歳まで確保することとされました。なかには定年制度を廃止した企業もあるようです。

ところで、企業などに就職の応募をする際、提出書類の一つに履歴書があります。高校生の場合には、全国高等学校統一用紙(以下、『統一用紙』)というものがあり、必要事項を書いて各企業に提出をします。この『統一用紙』は、1973年に初めて様式が統一されて以降、『本籍』欄の削除など、少しずつ改訂が行われ、今では、全国の就職希望の高校生が必ず提出するものとなっています。それまでは、各企業が独自に作成した応募書類(社用紙)が使われていました。社用紙には、『本籍』『家族構成』『家族の職業』『収入・健康状態』『宗教』『家までの地図』『家の間取り』などを記入するようになっており、そのことで採用・不採用が決められていた現実がありました。このことで、被差別部落出身の高校生をはじめ、多くの高校生が悲しい思いをし、進路を奪われてきました。本人の適性・能力・意欲等で採用を決定すべきなのに、本人の責任ではないことで採用か不採用かが決められるのは明らかに差別です。『つらい思いをする高校生を二度と出さない』と多くの人々が立ち上がり、応募時に必要のない情報を取り除いた『統一用紙』が制定されました。中学校卒業者にも、『統一用紙』の趣旨に則った『中学生職業相談票(乙)』が制定されています。

アメリカ合衆国では、人種・性別・年齢・信仰などによる雇用上の差別が禁じられており、年齢差別にあたる定年制度はありません。また、履歴書にも顔写真・性別・生年などの記載欄はありませんし、住所の記載欄もない履歴書もあるそうです。

わが国では、現在も面接時の違反質問や身元調査などの差別選考が残念ながら報告されています。おかしいことは「おかしい」と声をあげ、就職差別、雇用差別のない安心して働ける社会をみんなで築き上げていきましょう。

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