宗教法人別府ムスリム教会 土葬墓地について

更新日:2023年08月30日

宗教法人別府ムスリム教会から日出町南畑高平区内の土地に土葬墓地を開設したいとして、日出町墓地、納骨堂、火葬場の経営に関する条例(以下「条例」という。)第4条に基づき、申請を行うための墓地等経営計画協議書の提出がありました。

日出町は、その協議書について法律、条例等に基づき審査を行い、基準に合致しているとして事前協議済書を交付しました。

この間、条例上の近隣住民等※1に当たる高平区から水質検査の実施や埋葬数等についての意見の申出があったことから、別府ムスリム教会と高平区は協議を行い、議論になった事項について合意し協定を締結しました。

協定締結後、問い合わせやご意見をいただいたことから、墓地開設についての制度、経緯等について説明します。

※1近隣住民等とは、墓地等の境界線から水平投影面における最短の距離で 110 メートル(火葬場にあっては、 250 メートル)以内の土地の所有者並びに人が現に居住し、又は使用している建物の住民及び当該建物の所有者又はその管理責任者、並びに隣接する区の代表者。

1 墓地を開設するには

墓地等経営許可について

町内で墓地等を開設しようとする場合は、墓地、埋葬等に関する法律を踏まえ町長の許可が必要となります。

許可にあたっては、条例及び同条例施行規則に基づく手続きが必要です。

■町との事前協議

■経営計画の周知(墓地等経営計画の概要を記載した標識の設置、近隣住民等に対する説明会)

■近隣住民等との協議

■経営許可の申請

墓地等を設置できる者

■地方公共団体

■公益財団法人(墓地等の経営を目的に設立したもの)

■宗教法人(町内に主たる事務所又は従たる事務所を有するもの)

墓地等の設置場所の基準

■経営許可を受けようとする者が所有し、かつ、抵当権の設定がなされていないこと。

■住宅、学校、病院、店舗その他これらに類する施設の敷地から110メートル以上離れていること。

■河川、海又は湖沼に近接していないこと。

■高燥で、かつ、飲料水を汚染するおそれがない場所であること。

2 別府ムスリム教会が開設予定の土葬墓地について

■名称 別府ムスリム霊園

■場所 日出町大字南畑

■面積 4943平方メートル

■区画 79区画

■埋葬方法 土葬(深さ2メートルに埋葬)

3 これまでの経緯

これまでの経緯
平成30年12月 別府ムスリム教会が、土葬墓地開設について相談に来庁
平成31年 3月 別府ムスリム教会が、土葬墓地開設についての墓地等経営計画協議書提出
令和 2年 2月 別府ムスリム教会が、近隣住民等に対し土葬墓地開設に関する説明会開催 (7月にかけて計5回開催)
令和 2年 4月 別府ムスリム教会が、従たる事務所の登記を完了
令和 2年 5月 別府ムスリム教会が、土葬墓地開設についての墓地等経営計画協議書を一部修正して再提出
令和 2年 8月 高平区、目刈区が、土葬墓地開設反対の陳情書提出
令和 2年11月 南端地区区長会が、土葬墓地開設反対の陳情書提出
令和 2年12月 別府ムスリム教会が、土葬墓地早期建設許可を求める署名提出
令和 2年12月 日出町議会が、高平区、目刈区及び南端地区区長会からの墓地開設反対の陳情書採択
令和 3年11月 高平区が、別府ムスリム教会に土葬墓地建設予定地について同区内の町有地への変更を提案し、別府ムスリム教会がこれに同意。以後、変更後の場所での検討開始
令和 3年12月 杵築市山香町下切地区から土葬墓地開設について説明の申し入れを受ける
令和 4年 2月 日出町が、杵築市山香町下切地区等住民に対し土葬墓地開設に関する説明会開催(1回目)
令和 4年 4月 別府ムスリム教会が、土葬墓地開設予定地を高平区内の町有地に変更した墓地等経営計画協議書提出
令和 4年 5月 土葬墓地開設についての事前協議済書を別府ムスリム教会に交付(交付に際して日出町から、これまで議論になった事項について合意書を作成するよう求める)
令和 4年 6月 高平区と別府ムスリム教会が、これまで議論になった事項について協議開始
令和 4年 7月 日出町が、杵築市山香町下切地区住民等に対して土葬墓地開設に関する説明会開催(2回目:これまでの経緯と事前協議の内容について)
令和 5年 2月 令和4年6月以降、高平区と別府ムスリム教会が協議してきた事項について協議が整う
令和 5年 3月 別府ムスリム教会が高平区に協定書(案)を送付
令和 5年 4月 日出町が、杵築市山香町下切地区住民等に対して土葬墓地開設に関する説明会開催(3回目:協定書(案)の内容と別府ムスリム教会が管理、運営する土葬墓地に対する日出町の対応ついて)
令和 5年 5月 高平区と別府ムスリム教会が、協定締結

 

4 土葬墓地開設に対する懸念への対応について

杵築市山香町下切地区等の住民から、同地区の水源地が土葬墓地開設予定地から約550メートルの場所にあることから、水質汚染のおそれがあるとして開設地の変更等を求められております。

杵築市山香町下切地区の飲料水の水源地のある土地は、土葬墓地開設予定地から110メートル超離れており、条例上の近隣住民等にはあたりませんが、説明会等を行い不安の払しょくに努めています。

飲料水を汚染する恐れについて

日出町では、以下の点から飲料水を汚染する恐れがない場所であると考えています。

■キリスト教、イスラム教の土葬墓地全国13か所に問い合わせたところ、これまで水質汚染の問題は発生していないということです。

■墓地開設予定地に隣接する大分トラピスト修道院においても30年以上前から土葬を行っており、毎年の修道院内の地下水の水質検査の結果からは、水質汚染は確認されておりません。

■下切地区の水源地への影響については、墓地開設予定地とは550m離れており、文献で推奨される水源との距離※1以上であることから水質汚染のおそれはないと考えています。

※1 WHO(世界保健機構)の報告書(墓地の環境と公衆衛生への影響について)によると、井戸や泉等の水場から250m以内には埋葬しないこととされている。また、国立保健医療科学院の報告書では、100平方メートルあたり120体以上を埋葬する場合において、飲料用の井戸からの350メートル離すことを推奨している。

高平区と別府ムスリム教会の協定書について

高平区と別府ムスリム教会は、これまで議論になった事項について以下のとおり協定を締結しました。

■79区画の埋葬区画を設置し、同数を超えて設置しない。

■過去に別の遺体を埋葬しているときは、直近の埋葬日から20年以上経過していなければ同一区画に新たに埋葬しない。

■九州各県に住所、居所をおいていた者の遺体のみを埋葬する。

■高平地区内において、既存の墓地を拡張せず、新規の墓地を設置しない。

■年に1度、墓地の地下の水質検査を行い、検査結果を高平区長及び日出町に提出する。

■水質検査に異常(本件墓地における遺体の埋葬が原因であるものに限る)がみられる場合、検査結果に基づいて調査、検討、対策を行う。

■感染症を死因とする遺体など埋葬方法に留意すべき遺体について法令に則り適切に処理する。

日出町の対応

日出町といたしましても、別府ムスリム教会土葬墓地が開設後に安全・安心に運営され、日出町及び杵築市山香町下切地区の住民のみなさまの不安を払しょくできるよう以下のことを行います。

■水質検査結果の報告

別府ムスリム教会は、年に1度水質検査を行い、日出町に報告する。日出町は、その結果について杵築市に報告する。

■埋葬状況の確認について

別府ムスリム教会は、毎月5日までに、前月中の埋葬状況を日出町に報告する。日出町は、少なくとも年に1度、現地にて埋葬が適切に行われているか確認を行い、その結果について、杵築市に報告する。

■墓地の設置が原因で水質検査に異常が見られた場合

別府ムスリム教会が、検査結果に基づいて更なる調査、検討、対策を行う。日出町は、別府ムスリム教会がしっかり検討、対策を行うよう求め、検討結果、対策等について、杵築市に報告する。日出町としても改善策等を検討し、公衆衛生等の見地から、改善できない 場合等は使用の制限もしくは禁止等の措置を取る。

■墓地の管理状態の確認

日出町は、墓地が清潔に保たれているか定期に確認し、大雨等で墓地が崩れるおそれがないか等必要に応じて確認する。墓地が崩れるおそれがある等の場合は、別府ムスリム教会に速やかに安全措置を講ずるよう求めるとともに、高平地区、杵築市に報告する。

5 電話、メールでの問い合わせに対する回答

これまで電話、メールで問い合わせやご意見をいただきました。その中で主なものについて、回答します。

Q.土葬は禁止されているのに、なぜ土葬墓地を開設するのか。

A.現代の日本では火葬が主流になっていますが、法律上土葬は禁止されておりません。(現在、全国で13か所の土葬墓地が開設されています。)

Q.なぜ、日出町がイスラム教徒のために土葬墓地を開設するのですか。

A.日出町が土葬墓地を開設するわけではありません。土葬墓地を必要とする別府ムスリム教会が、開設のための手続きを行っており、日出町はその許可事務を担っているものです。

Q. なぜ、地元住民の意見より外国人の意見を尊重するのですか。

A.特定の意見を尊重しているわけではありません。条例に基づき土葬墓地開設の許可を求めるため、申請の前提である墓地等経営計画協議書が提出されたことから、日出町は、法律、条例等に基づき審査を行い、基準に合致していると判断したところです。

Q.開設予定地が大分トラピスト修道院隣接の町有地になった経緯は。

A.条例上の近隣住民等である高平区が、開設予定地を土葬墓地がある大分トラピスト修道院に隣接した町有地へ変更する提案をし、別府ムスリム教会が変更に同意したものです。

Q.土葬により水質汚染の心配はないのですか。

A.全国の土葬墓地13か所に問い合わせたところ、これまで水質汚染の問題は発生していないとのことでした。墓地開設予定地に隣接する大分トラピスト修道院においても30年以上前から土葬を行っており、毎年の修道院内の地下水の水質検査の結果からは水質汚染は確認されておりません。

Q.感染症などで亡くなった人も土葬することになりますか。

A.感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第30条第2項において、「一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、火葬しなければならない」とされており、該当する場合、原則火葬することになります。

この記事に関するお問い合わせ先

住民生活課 生活衛生係
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