町長室から(第59回)
発想の転換が成せるもの
夏の高校野球の最中、公認会計士になった元プロ野球選手の本に出合いました。奥村武博さんというその方は、ドラフト指名でプロ入りしますが、度重なるケガにより4年で退団、アルバイトなどをしながら受験勉強をしたそうです。高校時代は野球漬け、プロ野球時代は勉強と無縁だったとのことで、三大国家資格の一つと言われる資格を取得するまでの道のりは、平たんではなかったようです。途中、絶望感を味わいますが、試行錯誤のなかで野球と受験勉強の共通点を見つけます。発想を転換して自信を取り戻し、寸暇を惜しんで勉強の末、挑戦から9年で合格しました。
本人によると、結果を出すまでやり続けることを可能にするのは、根性ではなくテクニックだということです。プロ野球の選手は、分析力や問題解決能力、メンタルコントロールのテクニックに優れており、野球で培ったこの能力は、難関試験突破に大いに力を発揮したとのことです。
例えば、モチベーションの維持について、模擬試験の結果が良くなくて自信を失いそうなときには、「模擬試験は本番前の練習試合」と考え、今の自分の課題を洗い出す場と捉えることでダメージを減らすことができるとのことです。勝ち試合よりも負け試合にこそ意味があるとも述べています。
本のなかには、「やれば何でもできる」など、楽観的な言葉がよく出てきます。後から思うと過信だったと書いていますが、困難そうなことを成し遂げるには、過信と言われるくらいのポジティブな思考が重要なのかもしれません。
明るい話題が少ないコロナ禍のなかで、勇気をもらえる本に出合ったので紹介しました。受験生の皆さんは、夏休みが終わって忙しくなることと思います。体調に気をつけながら目標に向かって頑張ってください。
更新日:2022年08月31日