○日出町障がいのある人もない人も健やかで安らかに暮らせるまちづくり条例
平成30年3月7日条例第1号
日出町障がいのある人もない人も健やかで安らかに暮らせるまちづくり条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 障がいのある人に対する差別等の禁止(第6条・第7条)
第3章 共生社会実現に向けた取組
第1節 町民の理解促進(第8条―第11条)
第2節 自立と社会参加(第12条―第14条)
第3節 親亡き後等の生活維持のための支援(第15条)
第4節 情報の取得及び意思疎通の支援(第16条―第20条)
第4章 障がいを理由とする差別に対する相談体制(第21条―第25条)
第5章 日出町障がい者差別解消調整委員会(第26条―第32条)
第6章 雑則(第33条)
附則
全ての町民が自由に行動し、住み慣れた地域で共に支え合いながら、安心して暮らすことのできる社会の実現は、私たち町民の共通の願いである。
しかし、障がいのある人は、障がいに対する周囲の理解不足や誤解、偏見により障がいを理由に不利益な取扱いを受けたり、配慮が十分になされなかったりすることがあり、日常生活の様々な場面で生きづらさや差別を感じている状況が存在する。
2006年12月13日の国際連合総会において障害者の権利に関する条約が採択されて以降、我が国では、同条約の締結に向けて、障害者基本法の改正をはじめとした国内法の整備がなされてきた。
平成28年4月1日に施行された障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律においては、障がいを理由とする差別の解消を推進し、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指すこととされている。
本町においても、障がいのある人に対する差別の解消及び障がいのある人の権利を尊重し、健やかで安らかに暮らせるまちづくりに向けて、障がい及び障がいのある人とその家族に対する町民の理解を深める取組並びに障がいのある人の社会参加に対する支援を更に充実させる必要がある。
このような状況を踏まえ、本町は、障がいのある人の権利の擁護等に関する理念が全ての町民に浸透し、もって、障がいの有無に関わらず、誰もが互いを尊重し、支え合い、地域で安心して暮らしながら生きがいを持って参加できる共生社会の実現を目指して、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、障がい及び障がいのある人とその家族に対する町民の理解を深め、障がいのある人に対する差別をなくすための取組について、基本理念を定め、町、町民及び事業者の役割を明らかにするとともに、障がいを理由とする差別の解消を推進し、もって障がいのある人もない人も健やかで安らかに暮らすことのできる共生社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 障がいのある人 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その他の心身の機能の障がい及び難病等(以下「障がい」と総称する。)のある者であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいう。
(2) 障がいを理由とする差別 正当な理由がなく、障がい又は障がいに関連する事由を理由として、障がいのない人と異なる不利益な取扱いをすることにより、障がいのある人の権利利益を侵害することをいう。
(3) 社会的障壁 障がいのある人にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
(4) 合理的配慮 障がいのある人の性別、年齢及び障がいの状態に応じた、社会的障壁の除去のため、その実施に伴う負担が過重でない場合に、障がいのある人にとって必要かつ合理的な現状の変更又は調整を行うことをいう。
(5) 町民 日出町内に居住し、又は通勤し、若しくは通学する者(日出町を訪れる者を含む。)をいう。
(6) 事業者 日出町内において事業活動を行う全ての者をいう。
(基本理念)
第3条 共生社会の実現に向けた取組は、次に掲げる事項を基本として行われなければならない。
(1) 障がいのある人もない人も、性別又は年齢にかかわらず、かけがえのない個人としての権利が平等に尊重されること。
(2) 障がいのある人が、障がいを理由とする差別によって、その権利利益を侵害されないこと。
(3) 障がいのある人が、住み慣れた地域において、安心して暮らしていくことができるよう、必要な合理的配慮がされること。
(4) 町民一人一人が、障がい及び障がいのある人とその家族に関心を持ち、理解を深めること。
(5) 誰もが互いに意思を伝え合い理解し合えるよう、障がいのある人が、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段について選択の機会が確保されるとともに、情報の取得及び意思疎通のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。
(町の責務)
第4条 町は、前条の基本理念に基づき、障がい及び障がいのある人とその家族に対する町民及び事業者の理解を深め、障がいのある人の権利の擁護及び障がいを理由とする差別の解消に向けて、必要な施策を策定し、及び実施しなければならない。
2 町は、前項の施策を策定し、及び実施するに当たり、町民、事業者、大分県その他の地方公共団体と連携し、協力を図るものとする。
(町民及び事業者の責務)
第5条 町民及び事業者は、基本理念に基づき、障がい及び障がいのある人とその家族に対する理解を深め、障がいを理由とする差別の解消に向けた施策に協力するよう努めなけらばならない。
2 全ての町民は、障がいを理由とする差別は直接的に行われるだけでなく、間接的に行われることがあることを理解しなければならない。
第2章 障がいのある人に対する差別等の禁止
(差別等の禁止)
第6条 全ての町民は、障がいのある人に対し、障がいを理由とする差別をする行為その他権利利益を侵害する行為をしてはならない。
(合理的配慮)
第7条 町及び事業者は、次に掲げる場合のほか、その事務又は事業を行うに当たり、障がいのある人から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明(障がい等により本人の意思表明が困難な場合には、障がいのある人の家族、介助者等コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明を含む。)があった場合は、障がいのある人の性別、年齢及び障がいの状態に応じて、必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
(1) 教育、療育又は保育を提供するとき。
(2) 不特定多数の者が利用する施設(公共交通機関を含む。)を提供するとき。
(3) 意思疎通を図るとき及び不特定多数の者に情報を提供するとき。
(4) 商品を販売し、又はサービスを提供するとき。
(5) 不動産の取引を行うとき。
(6) 労働者の募集、採用及び労働条件を決定するとき。
(7) 医療又はリハビリテーションを提供するとき。
(8) その他社会的障壁となって、障がいのある人に対し日常生活又は社会生活に相当な制限を与えているとき。
2 町民は、障がいのある人の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするよう努めるものとする。
第3章 共生社会実現に向けた取組
第1節 町民の理解促進
(広報その他の啓発活動の推進)
第8条 町は、障がい及び障がいのある人とその家族に対する町民の理解を深めるための広報その他の啓発活動を推進するものとする。
(障がいのある人とない人との交流の推進)
第9条 町は、障がいのある人とない人との相互理解を深めるために障がいのある人とない人が交流することのできるよう必要な取組を行うものとする。
(障がい及び障がいのある人に関する教育の推進)
第10条 町は、学校において、児童及び生徒が障がい及び障がいのある人に関する正しい知識を持つための教育が行われるよう努めるものとする。
(参画の推進)
第11条 町は、障がい及び障がいのある人が町政に関する政策の参画を推進するため、政策の企画、立案等に当たっては、障がいのある人に対する適切な情報提供及び障がいのある人からの意見の聴取を行うよう努めるものとする。
第2節 自立と社会参加
(自立支援の環境づくり)
第12条 町は、障がいのある人が必要な支援を受けながら、自らの意思により選択し、自分らしく生きることができるために必要な取組を行うものとする。
(社会参加への環境づくり)
第13条 町は、障がいのある人が積極的に社会に参加し、地域の一員として、芸術、文化、スポーツ等を楽しみ、心豊かに生活することができるよう必要な取組を行うものとする。
(就労及び雇用への支援等)
第14条 町は、障がいのある人の就労が促進されるよう、障がいのある人が就労するために必要な相談及び支援を行うものとする。
2 町は、関係機関と連携し、事業者が障がいのある人について個々の障がいの特性を理解し、雇用の機会を広げるために必要な取組を行うものとする。
第3節 親亡き後等の生活維持のための支援
第15条 町は、親その他の者で障がいのある人の生活を支えていたものが死亡若しくは高齢化により支えることができなくなった場合又は在宅で生活する障がいのある人が高齢化若しくは重度化した場合においても、地域での生活が継続できるよう必要な取組を行うものとする。
第4節 情報の取得及び意思疎通の支援
(情報の取得及び意思疎通における支援)
第16条 町は、障がいのある人が、情報の取得及び意思疎通が容易にできるようにするために必要な支援を行うものとする。
(意思疎通手段の普及等)
第17条 町は、点字、平易な表現等の障がいの特性に応じた意思疎通手段の普及を図るものとする。
2 町は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解の促進及び普及を図るものとする。
(意思疎通支援者の養成等)
第18条 町は、手話、点字その他の方法により障がいのある人の情報の取得及び意思疎通を支援する者の養成及び技術の向上のために必要な取組を行うものとする。
(障がいのある人に配慮した情報提供)
第19条 町は、障がいのある人が情報を速やかに取得することができるよう、手話、点字、平易な表現等の障がいの特性に配慮した手段及び書面による情報提供に努めるものとする。
(災害時等の情報伝達手段の確保)
第20条 町は、関係機関と連携して、災害時又は緊急時に障がいのある人が必要な情報を取得し、又は発信できるよう、多様な情報伝達手段を確保するよう努めるものとする。
第4章 障がいを理由とする差別に対する相談体制
(相談)
第21条 障がいのある人又はその家族その他関係者(以下「障がいのある人等」という。)は、町に対し、障がいを理由とする差別に関する相談をすることができる。
2 町は、障がいのある人等から前項の規定による相談を受けたときは、必要に応じて次に掲げる対応を行うものとする。
(1) 障がいのある人等及び当該相談に係る事案(以下「相談事案」という。)の関係者への事実の確認及び調査
(2) 障がいのある人等及び相談事案の関係者への相談事案の解決に必要な説明及び助言
(3) 関係行政機関への通知
(4) 前3号に掲げるもののほか、障がいを理由とする差別を解消するために必要な対応
(あっせんの申立て)
第22条 前条第1項の規定により相談をした障がいのある人等は、同条第2項の規定による対応が行われても、なお相談事案が解決されないときは、町長に対し、その解決のために必要なあっせんの申立てをすることができる。ただし、当該障がいのある人の家族その他関係者が申立てをしようとする場合において、当該申立てをすることが当該障がいのある人の意に反することが明らかであるときは、この限りでない。
2 あっせんの申立ては、行政不服審査法(平成26年法律第68号)その他の法令に基づく不服申立ての手続をすることができる行政庁の処分については、することができない。
(あっせん)
第23条 町長は、前条第1項の申立てに基づきあっせんをしようとするときは、日出町障がい者差別解消調整委員会に諮問することができる。
2 町長は、日出町障がい者差別解消調整委員会から諮問に対する答申を受け、あっせんを行うことが適当であると認めた場合は、当該申立てに係る相談事案の関係者に対し、あっせんを行うものとする。
(勧告)
第24条 町長は、前条第2項の規定によりあっせんを行った場合において、障がいを理由とする差別を行ったと認められる者が当該あっせんに従わないときは、当該あっせんに従うよう勧告することができる。
(公表)
第25条 町長は、前条の規定による勧告を受けた者が、正当な理由なく当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。
2 町長は、前項の規定による公表をしようとする場合には、あらかじめ、当該公表されるべき者に対しその理由を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第5章 日出町障がい者差別解消調整委員会
(設置)
第26条 この条例の規定によりその権限に属させられた事項を処理するため、日出町障がい者差別解消調整委員会(以下「調整委員会」という。)を置く。
(組織)
第27条 調整委員会は、委員10人以内をもって組織する。
(委員)
第28条 委員は、障がいを理由とする差別の解消等に関して、高い識見を有する者であって、次の各号のいずれかに該当する者のうちから、町長が委嘱する。
(1) 障がいのある人又はその家族
(2) 福祉、医療、雇用、教育等に関する事業に従事する者
(3) 障がい者福祉に関し学識経験を有する者
(4) その他町長が必要と認める者
2 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任されることができる。
4 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
5 町長は、委員が前項前段の規定に違反したことが判明したとき、又は職務の遂行に必要な適格性を欠くと認めるときは、その委員を罷免することができる。
(委員長及び副委員長)
第29条 調整委員会に委員長及び副委員長を置き、委員の互選によってこれを定める。
2 委員長は、会務を総理し、調整委員会を代表する。
3 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるとき、又は委員長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第30条 調整委員会の会議は、委員長が招集し、委員長が会議の議長となる。
2 調整委員会の会議は、委員の半数以上が出席しなければ開くことができない。
3 調整委員会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 委員長は、必要があると認めるときは、委員以外の者を会議に出席させ、説明又は意見を求めることができる。
(庶務)
第31条 調整委員会の庶務は、介護福祉課において処理する。
(調整委員会の運営)
第32条 この章に定めるもののほか、調整委員会の運営に関し必要な事項は、委員長が調整委員会に諮って定める。
第6章 雑則
(委任)
第33条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成30年4月1日から施行する。
(各種委員会委員等の報酬及び費用弁償条例の一部改正)
(次のよう略)
附 則(令和3年12月20日条例第47号抄)
(施行期日)
1 この条例は、令和4年5月1日から施行する。
附 則(令和6年3月19日条例第13号)
この条例は、令和6年4月1日から施行する。